2017年6月10日土曜日

木材の弾力性を活用する高度な耐震構法

日本の伝統的な木造軸組みは、木材のめり込みを活かした独特の仕口(直角方向の接合)や継手(同方向の接合)の形式を持っています。

この構法により、地震時に軸組はしなやかに変形し、また長期振動にも追随できます。この接合部は架構全体の安全性を左右する大切な要素です。

近年の軸組は加工に手間のかかる仕口を用いず、簡易な接合法が採用されています。つまりプレカットによる単ホゾ形式で柱や梁を接合し、ボルトと板金物で補強する工法です。

このような形式は変形能力とエネルギー吸収を期待できず、地震時の変形による抜け出しが懸念されます。実際、熊本地震での家の倒壊は仕口の抜け出しに起因する事例が多数ありました。

必要以上に強固な金物を用いれば、接合部の回転変形を強く拘束してしまい、大きな地震を受けた時には木材を破壊する危険があります。

2017年6月1日木曜日

「新しい家だから地震が来ても大丈夫!」 本当ですか?

大地震の度に繰り返される家の倒壊による人の命と財産が失われる悲劇。その原因は何か?「2階建て木造住宅の97%以上は構造計算がされてない」という報告がされています。

その要因は「建築基準法」の不備にもあります。鉄やコンクリートの建物であれば、2階建て又は200㎡を超えるものは構造計算が義務付けられています。が、何故か、木造の家の場合は、2階建て以下500㎡以内であれば構造計算の義務がないのです。

それでも、法規上は「仕様規定」に簡易な計算法として、「壁量計算」「壁配置のバランス」「柱の接合方法」「梁材の断面設計」「2階床面の破壊防止」等の検討を明記しています。

が、これとても、多くの設計者は無知・無関心で実行されていません。この現実は、熊本地震の検証として「NHKスペシャル・あなたの家が危ない」でも放映されました。

2017年5月20日土曜日

「地震発生確率8%」では危機感伝わらず

恐怖心を煽る気は毛頭ありませんが、日本のどこに住んでいてもいつか必ず地震は襲ってきます。そのため「国民の地震防災意識を高める」を目的に、政府が1995年に設置した地震調査委員会作成の「2016年度版・全国地震予測地図」があります。

全国の主要活断層帯のデータなどから、今後30年に震度6弱以上の揺れが起きる確率を計算し、全国を赤・オレンジ・黄の順で色分けしています。この確率0.1%~3%は「やや高い」、3%以上は「高い」を表示しています。

この確率の表示は「降水確率5%では誰でも傘をも持たない」と同じように受け止められています。昨年の熊本市で発生した地震の確率は8%で、調査委員会の基準では「高い」だったのです。確率の低い地域の人は地図を見たことで地震への恐怖が減り、「この程度なら対策は必要ない」と考える傾向が見られます。

2017年5月10日水曜日

会報「創生5月号」編集後記

京セラ創業者・稲盛和夫師の訓言「動機善なりや、私心なかりしか」を胸に、「あがの家・創生プロジェクト」立ち上げの声がけを始めました。

以来、2年近くの歳月が経ちますが、山の頂は遥か彼方、まだ一合目にも達していません。早々簡単に芽が出て花が咲くものではないと承知はしているのですが・・。

田坂広志氏の著書に、社会起業を志す者の心得が載っています。

1「立志」、「良き社会」を実現しようとの「志」と「使命感」を持つ。
2「成長」、自分自身の「自己変革」と「人間成長」を目指す。
3「共感」、多くの人々の「共感」と「協働」を生み出す。
4「革新」、「現在の事業の革新」や「新しい事業の創造」を行う。
5「創発」、事業の革新や想像を通じて「社会創発」を促す。
6「信念」、生涯にわたって「社会変革の歩み」を続ける。
7「伝承」、次の世代に「志」と「使命感」を伝えていく。

この七つの実行を継続します。

2017年5月1日月曜日

木の家をお勧めする、その根拠を明確に

「あがの杉・創生プロジェクト」を立ち上げ、木の家をつくるなら「天然乾燥のあがの杉!あがの杉!」と連呼する。ならば、「何故、あがの杉なの?」と問われて、何と答えるか?それなりの答えは幾つか用意した。

が、自らに「何故?何故?」を五回繰り返すと答えに窮してしまう。これまでの長年の大工経験で何でも知っている気になっていた。実はそうではなかった。その反省に立ち、先ずは一から木材の勉強会を全員ですることにした。

建築用材としての木材と鉄やコンクリートの違い。木は天然で育った植物である。だから一本として同じものはなく、品質はバラバラ。柔らかい、燃える、折れる、曲がる、割れる、腐る、虫にも食われる。これが眼中に無かった。文献による実験データを基に、実地検証が急務である。

ところで、この無知・無関心は私たちだけなのか?