2017年7月1日土曜日

後継者育成と地産地建の家が地域活性の原動力

最近の日本の家づくりは、新工法、新建材による簡略化により、職人の技能を磨くチャンスが失われています。従って、現役の老齢化と共に高度な技術・技能の絶滅が危惧されます。(以前の佐渡のトキと同じ?)いくら便利な機械や道具が出来ても、使いこなす人がいなければ無用の長物です。

一方、建築用材についても同じことが言えます。30年、50年後、補修や一部取り換えをする時に、その材料が無ければ全部入れ替えになってしまいます。輸入品や新製品はその危険性が最も大です。

地域で生産されるモノを使うのが地産地建です。これはその地域の気候風土に合った特産品ですから、将来も途絶える危険性が最も少ないはずです。確かに便利な時代になり、日本のどこからでも一晩で届きます。が、その流通コストは莫大なもので、全ては価格に転嫁されているのが事実です。

2017年6月20日火曜日

改修・改造の容易性と履歴の記録を後世に引き継ぐ

長期優良住宅の認定基準に「可変性」という聞き慣れない言葉があります。

これは、ライフスタイルの変化に応じて間取り変更が容易であることを意味します。丈夫で100年以上持ちする家であっても、そのままの形で50年、100年後の住む人々の要望に応えられるかと問われれば?答えは一つ。

永く住むためには当然のごとく、この可変性が求められます。それは、間取り変更であったり、内外装の取り換えであったり、設備機器の入れ替えであったりします。

ところが、その段になって工事費がべらぼうに高額となると、飴の代金よりも笹の代金となります。その過大な負担を後世にまで残さない為には最初が肝心です。丈夫であると同時に、多様な変化に対応できる構造体であるべきです。釘・金物や合板に頼る短期的・平面的な構造体ではなく、太くて長い梁や柱などで組み合わせた立体構造が望まれます。

更に、構造体と内装や設備が分離され、改装や設備の入れ替えが容易であること。床下や天井の高さ、壁の幅、点検口、水周りの計画配置等々、長期にわたる配慮が必要です。

人間の健康維持に定期検診が必要なように、家を長持ちさせるには経験豊富なホームドクターによる点検をこまめにすることが、余分な費用を倹約する予防策になります。

この記録は家の性能・品質を客観的に証明し、資産価値もはっきりします。

2017年6月10日土曜日

木材の弾力性を活用する高度な耐震構法

日本の伝統的な木造軸組みは、木材のめり込みを活かした独特の仕口(直角方向の接合)や継手(同方向の接合)の形式を持っています。

この構法により、地震時に軸組はしなやかに変形し、また長期振動にも追随できます。この接合部は架構全体の安全性を左右する大切な要素です。

近年の軸組は加工に手間のかかる仕口を用いず、簡易な接合法が採用されています。つまりプレカットによる単ホゾ形式で柱や梁を接合し、ボルトと板金物で補強する工法です。

このような形式は変形能力とエネルギー吸収を期待できず、地震時の変形による抜け出しが懸念されます。実際、熊本地震での家の倒壊は仕口の抜け出しに起因する事例が多数ありました。

必要以上に強固な金物を用いれば、接合部の回転変形を強く拘束してしまい、大きな地震を受けた時には木材を破壊する危険があります。

2017年6月1日木曜日

「新しい家だから地震が来ても大丈夫!」 本当ですか?

大地震の度に繰り返される家の倒壊による人の命と財産が失われる悲劇。その原因は何か?「2階建て木造住宅の97%以上は構造計算がされてない」という報告がされています。

その要因は「建築基準法」の不備にもあります。鉄やコンクリートの建物であれば、2階建て又は200㎡を超えるものは構造計算が義務付けられています。が、何故か、木造の家の場合は、2階建て以下500㎡以内であれば構造計算の義務がないのです。

それでも、法規上は「仕様規定」に簡易な計算法として、「壁量計算」「壁配置のバランス」「柱の接合方法」「梁材の断面設計」「2階床面の破壊防止」等の検討を明記しています。

が、これとても、多くの設計者は無知・無関心で実行されていません。この現実は、熊本地震の検証として「NHKスペシャル・あなたの家が危ない」でも放映されました。

2017年5月20日土曜日

「地震発生確率8%」では危機感伝わらず

恐怖心を煽る気は毛頭ありませんが、日本のどこに住んでいてもいつか必ず地震は襲ってきます。そのため「国民の地震防災意識を高める」を目的に、政府が1995年に設置した地震調査委員会作成の「2016年度版・全国地震予測地図」があります。

全国の主要活断層帯のデータなどから、今後30年に震度6弱以上の揺れが起きる確率を計算し、全国を赤・オレンジ・黄の順で色分けしています。この確率0.1%~3%は「やや高い」、3%以上は「高い」を表示しています。

この確率の表示は「降水確率5%では誰でも傘をも持たない」と同じように受け止められています。昨年の熊本市で発生した地震の確率は8%で、調査委員会の基準では「高い」だったのです。確率の低い地域の人は地図を見たことで地震への恐怖が減り、「この程度なら対策は必要ない」と考える傾向が見られます。