2018年4月20日金曜日

新耐震基準の実状と、より安全、安心の耐震性能を目指して

人の住む家は、安全性が最も基本的かつ重要な要求性能です。

暴風、豪雪、火事、地震などの災害から人の命と財産を守る役目を果たさなければなりません。家の安全については法律・基準の規定を守れば良いと考えている人が少なくありません。

しかし、これらはあくまで最低基準で、これを満たせば十分な安全を保証されるわけではありません。日本は地震国です。家の安全は耐震性能抜きでは語れません。

今、国は「耐震診断・耐震補強」は推奨しています。この耐震基準は、中地震に対して建物の損傷が軽くて済むことが目標です。

大地震に対しては基本的に「人名の安全を守ることのみ」が基準です。家や家財を守ることは対象外となるので、大地震後の復旧や続けて居住することは出来なくなる可能性が大きいのです。


●木の構造システムと設計方法

木の構造システムにとって、地震に対する性能をどの様に確保するのか?

現在、一般的には、構造自体の固さ(剛性)を高めることで、この課題に応えようとするのが主流です。

伝統的構法は、木の特性に従うことを基本姿勢にしているので、粘り強さ(靱性)を大きくする方法を選択しています。

靱性の大きい構造体は、変形することで地震のエネルギーを吸収し、元に戻る特性があります。



2018年4月10日火曜日

強くて、良くて、好かれる「匠」を目指して日々精進

今は、ほとんど忘れ去られた言葉「匠(たくみ)」。辞書を引くと「優れた技術を持つ人。古くは特に木工職人をさす」と載っています。

当社社員は全員、大工職も設計職も「匠」になる事を目指しています。匠になるには「3つの信念」が必要といわれています。

1つは「執念」です。成功するまでやめない。「なさずんばやまず」という強い思い。完成させるまでは何があってもやり抜くという心です。

2つ目は「丹念」です。丁寧、真心を込めるということ。仕事には手抜きはしない。

3つ目は「情念」です。思いやりのある人、愛情が深い人。思いやりがないと良い仕事はできません。コミュニケーション能力ともいえます。

もう一つ大事なことがあります。「与える人になる」という事です。自分の周りの人に何を与えられるか。これがプロとアマの違いです。全社員が「匠」になる事。これが私たちの「人生・仕事」の目的であり理念です。




3月22日、今年度新卒採用の斎藤悠也・鬼原晃生、両君が初出社しました。新しい作業服を着た18歳の彼らの姿は、私の孫のような初々しさです。両君は、新津工業高校・日本建築課の卒業生で、一昨年に入社した佐久間魁君、中村大那君の2年後輩です。

当社では、日本木造建築の伝統技術の継承と進化向上を目指し「強くて、良くて、好かれる、プロチーム」を合言葉にしています。今風の「休みが多くて、給料が高い会社はどこだ」というような考え方では当チームでのプレイヤーにはなれません。

昨年、推薦者の高橋先生と同伴で面接した際は、成績表は一切無視し「大工仕事が本当に好きか?」の返答で即決採用しました。4月4日より、東京での「㈱アイウィル」の新入社員3ヵ月研修・2泊3日の受講です。

「鉄は熱いうちに打て」先ずは「人生観・仕事観」の基礎レッスンからです。


㈱研創 武石明

2018年4月1日日曜日

木造軸組構法の設計者に求められる基本事項

設計者・施工者の多くは、これまで在来軸組工法による住宅設計において、構造(性能)を真剣に考慮することを怠ってきました。


例えば、基礎については地盤調査会社のデータ考察を基に判断・設計しています。また、上部構造の伏図、軸組図の作成は本来、設計者が行うべき設計行為ですが、大半はプレカット工場にお任せが実状でしょう。

しかし、これからは設計図書の充実が最も優先される時代となります。その時求められるのは、設計者一人ひとりが多くの知見を持ち、的確な判断をしながら一貫性のある設計を進めていくことです。


構造設計は建築基準法の規定だけで出来るものではありません。どんなに法の規定を細かくしても、最終的には設計者の資質、判断、倫理観に委ねられる部分が残ります。結果として一つのまとまりのある設計図書を個人の力で作成できるか否か、それが設計者に求められる資質なのです。



○設計者に求められる基本事項
①木材の特性を知る事。
②建物に対する力の種類と、力の流れを理解する事。
③軸組、耐力壁、床組、小屋組、接合部の役割と、それらの組み合わせについて理解する事。
④地盤のデータを読み、基礎の適切な形状を考える事。
⑤木造の架構計画を含む構造計画が出来る事。