2019年3月20日水曜日

家の価値・性能・機能の関連特性を知る Part2

「地震力と耐震性」

最近、テレビや新聞で首都直下型、又は東南海地震の被害予測が頻繁に報じられています。

一見、私たち新潟県に住む者としては、よそ事と思うかも知れませんが、そうではありません。日本列島に住む限り、必ず地震に襲われると覚悟しなければなりません。

一昨年は「熊本地震」が発生、甚大な被害を受けました。そこで今回から家と地震の関連を、数回に分けて掲載します。


☆地震とは?

建築学的には、地震の際に建物に働く力を「加速度」と捉えます。地震は、地下に震源を持つので、下から突き上げる力と、建物を横に揺らす力とが同時に存在します。

下からの力も凄まじいのですが、横に揺らす力の約50%と言われています。従って、まずは第一に耐震性能として話題にするのは、横に揺らす力の影響です。



要約すると、
①地震力=水平力と考える。
②地震力は、1・2階各々に働くので、別々に抵抗すると考える。
③地震力は、建物の重さに比例する。

次回に続く・・・。

2019年3月10日日曜日

家の価値・性能・機能の関連特性を知る Part1

「梁のたわみに対する設計数値」

数年前に、当社のお客さまから相談を受けました。
息子さんが仙台市に家を新築することになり、大手ハウスメーカーに頼むことになった。ところで、2階の書斎の書棚に大量の本を置くのだが、大丈夫か診て欲しいとのことでした。

そこで今回は、木の梁についての性能です。
お客さまが心配しているのは、梁が折れるかどうかより、2階の床がたわむのではないか?です。

梁のたわみの計算には、
①荷重の分布による係数
②荷重の大きさ(W)
③スパン(支持点間の距離:L)
④部材のヤング係数(たわみに対する強度:E)
⑤部材の断面形状(縦横寸法による係数:I)
の5項目が影響します。

等分布荷重の場合、数式で表すと δ(たわみの量)=5W L ⁴/384E I となります。



たわみの量は梁の長さ(スパン)との比率で表します。
たわみ量が1cmとすると、スパンが2mの場合は 1/200、4mであれば 1/400となります。



学会の告示に示される制限値は、2階の床の場合 1/300、屋根の梁の場合は 1/200となっています。

この数値はあくまでも参考値ですので、その状況により的確な判断が重要です。

2019年3月1日金曜日

ある建築家から教わった「目に見えないものをデザインする」

目を引くもの、カッコイイものが良いデザインと思われがちです。

ある方の論文に、「悪いデザインというものは、ごまかすこと」で、良い建築とは「見えないものまでデザインされたもの」だと教わりました。

ではそれは何かといえば、うわべの綺麗さ、かっこ良さ、ごまかしではなくて、熱や空気、匂い、音といった「外から入ってくる豊かなもの」、心身の感触、周辺との関係(佇まい、コミュニケーション)、目には見えないけれど大事なことから逃げないで考える。


「見える化」するという言葉がありますが、表現者(設計者、つくり手)は「目に見えないものを見える化」する能力のある人です。

自分たちの価値観をきちんと社会に伝えることができる人が表現者です。建築は様々な要求が混然一体となってハーモニーを奏でるもの。

写真に写らないものも、実物では分かってしまう。見えないものを侮ってはいけない。それには、毎日コンピュータと睨めっこしているだけでは、何時まで経っても見えてきません。

まずは、生活態度を改め、心身を鍛え直し、感受性・気づき力を磨くことです。

具体的には、靴を揃える、
ゴミを拾う、
キビキビ行動、
元気溌剌、
笑顔で挨拶・・・。

習慣を変えて自己変革に尽きるのでは?と思います。