2022年8月20日土曜日

家の価値・性能・機能の関連特性を知る Part1

「梁のたわみに対する設計数値」


数年前に、当社のお客さまから相談を受けました。
息子さんが仙台市に家を新築することになり、大手ハウスメーカーに頼むことになった。ところで、2階の書斎の書棚に大量の本を置くのだが、大丈夫か診て欲しいとのことでした。

そこで今回は、木の梁についての性能です。
お客さまが心配しているのは、梁が折れるかどうかより、2階の床がたわむのではないか?です。

梁のたわみの計算には、
①荷重の分布による係数
②荷重の大きさ(W)
③スパン(支持点間の距離:L)
④部材のヤング係数(たわみに対する強度:E)
⑤部材の断面形状(縦横寸法による係数:I)
の5項目が影響します。

等分布荷重の場合、数式で表すと δ(たわみの量)=5W L ⁴/384E I となります。



たわみの量は梁の長さ(スパン)との比率で表します。
たわみ量が1cmとすると、スパンが2mの場合は 1/200、4mであれば 1/400となります。



学会の告示に示される制限値は、2階の床の場合 1/300、屋根の梁の場合は 1/200となっています。

この数値はあくまでも参考値ですので、その状況により的確な判断が重要です。

2022年8月10日水曜日

ある建築家から教わった「目に見えないものをデザインする」

目を引くもの、カッコイイものが良いデザインと思われがちです。


ある方の論文に、「悪いデザインというものは、ごまかすこと」で、良い建築とは「見えないものまでデザインされたもの」だと教わりました。

ではそれは何かといえば、うわべの綺麗さ、かっこ良さ、ごまかしではなくて、熱や空気、匂い、音といった「外から入ってくる豊かなもの」、心身の感触、周辺との関係(佇まい、コミュニケーション)、目には見えないけれど大事なことから逃げないで考える。


「見える化」するという言葉がありますが、表現者(設計者、つくり手)は「目に見えないものを見える化」する能力のある人です。

自分たちの価値観をきちんと社会に伝えることができる人が表現者です。建築は様々な要求が混然一体となってハーモニーを奏でるもの。

写真に写らないものも、実物では分かってしまう。見えないものを侮ってはいけない。それには、毎日コンピュータと睨めっこしているだけでは、何時まで経っても見えてきません。

まずは、生活態度を改め、心身を鍛え直し、感受性・気づき力を磨くことです。

具体的には、靴を揃える、
ゴミを拾う、
キビキビ行動、
元気溌剌、
笑顔で挨拶・・・。

習慣を変えて自己変革に尽きるのでは?と思います。


2022年8月1日月曜日

構造解説書より学ぶ「構造設計という機能」

建築における構造技術とは何か?


このような問いに対して容易に答えることはできませんが、少なくとも「建築物が成立し、実体として存在するために最低限必要なものは『構造』である」ことは確かです。

構造設計とは「何を建てるか」というより、「如何に建てるか」を設計するものであって、現代の工匠(職人)の能力を如何に如実に反映するべきもの、ということです。



しかし、実際の建築物は個々に異なり、機械製品のように在庫がきかないし、注文者の要求も異なります。

これに応える構造技術は、決まりきった手続きや手順で処理し得るものではなく、その物性ごとに千差万別です。

そこには、構造技術者は工事現場での絶え間ない自己研鑽が要求され、力学の理論と経験のバランスよい構造感覚が不可欠です。


当社社員は、デザイン設計は勿論ですが構造のプロを目指しています。