2024年1月20日土曜日

屋根・2階床の変形防止が耐震構造の前提

建物に地震力が加わった時、その水平力に抵抗するのが耐力壁です。

その建物の重量に比例して地震力が決まります。
各所に配置された耐力壁の強度に応じて地震力が配分されます。
その地震力を耐力壁に伝えるのが、屋根構面や2階の床構面で水平構面と言います。

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この水平構面が柔らかくて変形すると、地震力を均等に伝える事が出来ません。
その為に、水平構面が変形しない構造体を作らなくてはなりません。
一般的には、小屋筋交いや火打ち梁、2階構面には24㎜以上の合板を下張りします。
伝統構法の基本は金物やクギを使わない工法なので、太くて長い梁を縦と横に組み合わせ、変形防止の構造体を作ります。

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これにより、大きな地震力に押されても元に戻る構造体となり、均等に耐力壁に伝える事ができます。
耐力壁の強度の確保は勿論ですが、水平構面の変形防止が更に重要です。

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2024年1月10日水曜日

木造の家を新築する時の注意点

木造の家の品質は、誰に設計を頼むかによって決まります。

家は構造物なので、基礎・軸組・床組・屋根組によって成り立っています。
これらを構成する部材は、基礎以外は全て木材です。

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木材は鉄やコンクリートと違い、独特な特性があります。
なので、木の特性を活かした構造体でなければ、地震や台風に襲われた時安全性を確保する事は出来ません。
それを証明するのが構造計算です。
木構造の構造計算は特殊なので誰にでも出来るものではありません。
長年の経験と高度な計算力が必要です。
他にも、居住性や防火・遮音・省エネ・デザイン等、注意点は幾つもありますが、先ずは構造体の安全性が先決です。

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安全性を確保するためには、太くて長い木材で組み立てます。
その為には、大工職人の高度な技が必要で、誰にでも出来るものではありません。
事前に大工担当者に会って、その人の経歴を確認しましょう。

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2024年1月1日月曜日

地震や強風に負けない構造体をつくる

新年明けましておめでとうございます。
お健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。



今現在つくられている木造の家の大多数は、職人の技を必要としません。

工場で加工した木材をボルトやプレートを使って組み立てます。

建築用材としての木材は、鉄やコンクリートとは根底から性質が違います。

その特性も知らず「軽いから簡単だ」程度で建てているのが現状です。





これでは木でつくる意味がありません。

日本の伝統である木造建築は、地震や強風に強くて長持ちのする家が最大の特長です。

建物に横の力が加わると傾きます。

この傾きを抑える為には水平力に負けない構造体が必要です。

それを今風の建て方では、合板や筋交いで補っています。




伝統的構造は木材と木材の接合方法によって傾きを抑えます。

これによって、粘り強く復元力の強い構造体となります。

水平力による傾きの数値と建物の高さの比率を層間変形角で表示します。





今風の簡易な工法では1/30に傾くと倒壊します。

が、木組みの構法では1/15まで安全です。

この構造体をつくるには、高度な大工職人の技を必要とします。