2024年5月20日月曜日

今一度、家づくりの責任者としての職務を自らに問う

家の存在性は、住む人の命と財産を守る事が、第一使命です。

木造の家は誰がつくっても一緒と思うかもしれませんが、それは大間違い。

木の構造は、他の構造より遥かに緻密で複雑なのです。


構造材としての木材は、樹種も多様で強度も性能も千差万別。

更に、細い材料を縦横に組む複雑な構造です。

なので、安全性を証明する構造設計は膨大な計算を要します。


ところが、建築基準法は2階建・500㎡以下の住宅は構造計算を免除されているので、実行されていないのが殆どです。

最近は、大型台風や極地地震による被害が多発しています。

法律に明記されないとしても、責任者意識を自覚するべきです。


尚且つ、直接工事を担当する職人の意識と専門力の可否により、その性能が決まります。何千万円のお金を支払って求めた家がある日突然、粗大ゴミと化した。

これほど悲惨な事故はまさに人災です。


どの様な職業でも、お客さまの要望と満足にお応え出来る度合いによって、その人の存在価値が決まります。

2024年5月10日金曜日

新耐震基準の実状と、より安全・安心の耐震性能を目指して

人の住む家は、安全性が最も基本的かつ重要な要求性能です。

暴風、豪雪、火事、地震などの災害から人の命と財産を守る役目を果たさなければなりません。家の安全については法律・基準の規定を守れば良いと考えている人が少なくありません。

しかし、これらはあくまで最低基準で、これを満たせば十分な安全を保証されるわけではありません。日本は地震国です。家の安全は耐震性能抜きでは語れません。

今、国は「耐震診断・耐震補強」は推奨しています。この耐震基準は、中地震に対して建物の損傷が軽くて済むことが目標です。

大地震に対しては基本的に「人名の安全を守ることのみ」が基準です。家や家財を守ることは対象外となるので、大地震後の復旧や続けて居住することは出来なくなる可能性が大きいのです。


●木の構造システムと設計方法

木の構造システムにとって、地震に対する性能をどの様に確保するのか?

現在、一般的には、構造自体の固さ(剛性)を高めることで、この課題に応えようとするのが主流です。

伝統的構法は、木の特性に従うことを基本姿勢にしているので、粘り強さ(靱性)を大きくする方法を選択しています。

靱性の大きい構造体は、変形することで地震のエネルギーを吸収し、元に戻る特性があります。





2024年5月1日水曜日

丈夫な家の根幹に関わる問題を明らかにする

皆さまは、丈夫な家とは柱や梁が太いことであると思っているハズです。


勿論、正解です。
が、時によっては柱が浮き上がるということをご存知でしょうか?

地震等によって、横の力(水平力)が耐力壁に加わると、その壁に接する柱に上向きの力が生じます。そうなると、柱が土台から引き抜かれてしまいます。

いくら梁が大きくて、筋かいや耐力壁が強くても、柱が土台から外れてしまえば家は潰れます。それを防ぐために、柱の接合部にボルトや板金物を取り付けます。



当社ではなるべく金物を使わず木の栓で抑えています(釘や金物で木材を傷めないために)。が、その為には、一定の地震力を想定して、柱に加わる引き抜き力を算定する必要があります(勿論、木の栓の強さも計算する)。


計算法としては、簡易法と詳細法がありますが、より正確な数値を求めるために、当社では詳細法(コンピュータ解析)で計算しています。


この計算は、柱の問題だけではなく、基礎のアンカーボルトやコンクリートの強度、鉄筋の太さや配置方法まで影響します。

これまで、あまり問題にしてこなかったようですが、実は丈夫な家の根幹に関わるコトなのです。