2025年10月20日月曜日

地域の伝統文化・技能を後世にバトンタッチ

日本の木造建築物と鉄やコンクリート造りとの最大の違いは、腐れと虫害の管理さえ適正であれば、半永久的に機能する特長があります。


古い家の再活用をお勧めしていますが、何もかもという訳ではありません。



費用の面も含め、価値・メリットの客観的な判断が重要です。

それには、調査・診断・改修設計・施工法・維持管理等の知識・技術の専門力が必要になります。


その様な人材を育成しながら、地域で活躍すれば、歴史ある街並みも、各地に多く存在する空き家や情緒ある古家もむやみに壊されずに地域の活性策にもなります。

2025年10月10日金曜日

家の価値・機能・性能の関連特性を知る Part6

 建物の変形(層間変形)について」


これまでは、「耐震性能における地震力とは水平力のことであり、建物の重量と固有周期が影響する」というのが、概略の説明でした。

今度は建物の地震に対する耐力(抵抗力)についてのお話しです。

建物に水平力を加えて徐々に強くしていきます。すると、建物は少しずつ変形を始め、窓ガラスが割れたり、外壁にヒビ割れが入ったりします。

この現象の現れる変形の度合い(変形量)は、各階の高さ(H)と、変形の幅(δ)の比(層間変形角 θ=δ/H)で表します。


外壁のサイディングでヒビ割れの起きる限界の θ は 120分の1(損傷限界)とされ、階の高さが3mだとすると2.5cmになります。

これに対して建物が倒壊する限度を「安全限界」と言います。

今風の合板や筋かい等、釘や金物に頼る構造の安全限界は30分の1とされています。

当社がお勧めする木組みによる伝統的構造の場合は、15分の1までの粘り強さが実験で証明されています。

2025年10月1日水曜日

家の価値・機能・性能の関連特性を知る Part5

「地震の揺れを左右する、地盤と建物の周期」


地震とは地盤の揺れによって発生しますが、この揺れには周期があります。

揺れの周期とは、振り子のように揺れ、一往復にかかる時間を指します。場所によって違いますが、0.8~1.0秒に集中します。

地盤の特性を簡易計算では、1・2・3種に分けて計算します。

一方、建物も同じ様に揺れの周期を持ちます。その周期は、建物によって固有の周期を持つことから「固有周期」と呼ばれています。

この固有周期は一般的に建物が高く、重く、柔軟なものほど長くなり、低く、軽く、強固なものほど短くなります。

そして、建物の固有周期と地盤の揺れの周期が一致(共振)すると、建物の揺れが増幅され、倒壊などの大きな被害を引き起こす原因となります。


つまり、地盤の周期に近い固有周期を持つ建物を造らないことが、耐震化の重要なポイントとなります。

軟弱地盤の周期曲線はすそ野が広いために、その範囲から外に抜け出せず、不利な条件が重なります。