2022年4月20日水曜日

普遍的魅力と日本の生活文化の伝統

100年以上永く愛されるとなると、4世代に愛され続けられなくてはなりません。一時の気まぐれや流行では、時代を超えることは不可能です。時代を超えて愛される魅力、それは普遍的な魅力と言えます。


その要素の一つに、地域の気候風土、自然にマッチした生活文化の伝統性があります。工場生産住宅の現代は、日本のどこでも同じ既成品の家が建っています。これらの家が世代と時代を超えて、普遍的な魅力に富んでいるかと問えば・・・?


昔中学校で学んだ歴史教科書を思い出します。明治の初めに、文明開化の集団催眠にかかり、廃仏毀釈(仏教を排斥し、寺・仏像を壊す)が盛んに行われたことを。

我々日本人の、新しいものであれば何でも有難がる性癖の証です。社会が豊かになることは、より新しくより多くすることだと思い込んできました。


本当は上面や数量ではなく、中身であることに気付く時が来ました。「普遍的魅力」という難しいテーマに結論はないと思いますが、敢えて私見を言えば、過去から現在、そして近未来という時間軸の延長線上にあるということ。


一時の受けや、奇抜さを売り物にしたものは、いずれ廃れてしまうことは歴史が何度も証明しています。思いの目を未来に向けて、後世の人々も共感する普遍的魅力と日本文化の伝統的魅力の創造が求められます。

2022年4月10日日曜日

敷地を読み、意匠と構造の一体をデザインする設計

近頃は、自分だけの個性的な家を望んだのでしょうが、住宅雑誌や住まいの本の受け売りで、似たような無国籍の家が建ち並んでいます。この現実を見ると悲しいものがあります。


住まいは「斬新な」と言えるほど個性的である必要はなく、雑誌の切り抜きを寄せ集めたような安易なものではありません。

一般的には目を引くもの、カッコいいものが良いデザインですが、家は土地の上に建つ構造物ですから、それだけでは本当に良いとは言えません。ましてや、いま盛んに宣伝されている、〇〇仕様や××装備などのオプション・オンパレードは、二の次、三の次の問題で論外です。


先人先輩・建築家の教えとして、「建築設計の要諦は意匠(デザイン)と構造は一体でなければならない」、「構造は真実を表現したものでなければならず、真実がもたらす美を具有しなければならない」と強調しています。


私たちが伝統的な木組みの構造にこだわる、構造体そのものが力学的な理に適うことで、バランスとプロポーション、全体美を生むと思っているからです。

細部に至っては、木組みの出来栄えと木肌等の見え掛りにこだわり、手技の切れ味による美が存在しなければならないと思っています。



2022年4月1日金曜日

時間・年数の経過とともに判明する家の価値・魅力

消費財といわれる工場製品は通常、カタログや店頭でその価値を判断し購入します。しかし、家はオーダーメイドの現地一品生産なので、現物は存在しません。


提供者を決め、様々な期待・要望を検討しながら設計図と価格が決まります。その後、数カ月の工事を経て完成します。待ちに待った夢のマイホームを手にした喜びの一瞬です。

だがしかし、家は完成時の外観だけでは真の価値はわかりません。本当の価値は、時間の経過によって判明するからです。


第一のプロセスは、住んで1年目。春・夏・秋・冬の気候変化に伴う、雨・風・雪・日照などに対する適応は? 生活する中で、不便・狭い・うるさい・暑い・寒い・暗い・落ち着かない等々、機能・利便性は満足か? 光熱水費や清掃費等のランニングコストは? これらが判明します。

第二のプロセスは、5年位の経過に伴う、住む人に対する影響です。心身の健康、生活スタイル、幼児・子供の情緒・教育効果、家族と縁者との関係、近隣との関係、等々が判明します。


第三のプロセスは、10年以降を経過すると、家の性能・品質が判明します。耐力性(構造上の不具合)、耐久性(劣化・腐食・虫害)、地盤沈下や家の傾き、資産価値(材料の品質・工法)、周囲や時代変化との違和感、愛着や誇り(飽きる・不満・コンプレックス)等々。


生涯で最大の出費である家の購入。尚且つ「これほど複雑で厄介な代物はない!」。

提供者としてもその責任の重大さを痛感しています。