2023年12月20日水曜日

改修工事を依頼する時は、その目的を明確に伝える

家の果たす役割は多種多様です。

建てた当時は満足しても、年数が経つ事によって不便や不具合が生じます。
それを解消する為に専門業者に相談します。
その時、誰を選ぶか、が大切です。
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木造の家の改修設計は、長年の経験と高度な建築技術を持った建築士でなければ出来ないからです。
次に大切な事は、何に不便や不足を感じるのかを明確に伝える事です。

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あやふやな伝え方だと、目的と違った工事となる危険があります。
同時に予算の範囲も伝える事も重要です。

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理想的な改修設計ができても、予定外の出費であれば実現不可能です。
更に直接工事を施工する担当者とのコミュニケーションも大切です。
設計図が出来上がっても担当者の違いによって、目的の捉え方が異なる場合があるからです。

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その為にも再度、要望する内容を伝えるべきです。
同時に工事の進行状況も常に確認します。

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出来上がってみたら、こんなつもりでは無かった。
では悔やんでも悔やみ切れません。

2023年12月10日日曜日

古民家の改修・改築は誰にでも出来るものではありません

60年以上経った木造の家は、今風の家とは根底から違います。

柱の本数は少なく壁は土壁が殆どです。
それでも、台風や地震に耐えてきました。
最近の家づくりは地震に対する耐力を、筋交いや合板に頼っています。
この古い家を改修するとなると、構造力学に基づいた耐震計算が必要となります。
この計算法は高度な理論を基にしていますので、誰にでも出来るものではありません。


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改修工事は現状の構造体を変える事になるので、大工職人の高度な技術が必要です。
梁や柱を入れ替えるには、ノコギリ・ノミ・カンナを自在に操られなければなりません。尚且つ、屋根や外装・内装・基礎を担当する職人との連携が必要です。


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私たちはこれまで、同じ現場で何度も経験してきました。
これからの時代、古民家は地域にとって貴重な財産となります。
改修・改築すれば出費も少なく、居住性や性能は高まります。


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2023年12月1日金曜日

家を求めるお客さまの真の要望を満たす要因は何か?

一般的な流通商品であれば、現物とお金の交換によりその場で両者の関係は終わります。家の場合、現物は存在しません。

そのために規模や仕様、性能・価格を明記した膨大な資料が必要です。
両者が合意すれば契約という約束に至ります。

2023_12_01-1お引渡しも数カ月の期間を要します。
尚且つ、完成時において要望を満たしているのか?
数年後に不具合が生じないか?


2023_12_01-2生涯で最大の出費ですので、様々な不安がよぎります。
家は構造物であり財産ですので、長期間の品質確保が必要です。


2023_12_01-3それらの諸条件を満たす為には設計者の専門力が問われます。
その為には、絶え間ない研究と長年の経験の蓄積を要します。
見た目だけに拘るデザインや、にわか仕込みの知識では通用しません。


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2023_12_01-5特に木造の家の場合は、木材の特性を熟知していなければ必ず支障が生じます。
となると、お客さまにとっては誰を設計者に選ぶかという難しい問題になりますが・・・。

2023年11月20日月曜日

「備えあれば憂いなし」客観的評価による「住まいの安全確認」をお勧めします

家を商品と捉えるならば、他の商品との最大の違いは、「住む人の生命と財産を守る構築物である」ということです。

更に長年使用する資産でもあり、固定資産税も納めなくてはなりません。


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その為に「建築基準法」や「建築士法」にその規則が明記されています。
近年の住宅市場を鑑みると、提供者も購入者も無頓着の傾向が多々見受けられます。
家は長寿命ですので、その間に台風や地震に襲われる確率は高まります。
最近は全国各地に台風や地震が多発し、尊い人命や家の崩壊、財産が失われました。
が、多くの人は「よそごと、他人ごと」の感が否めません。
災害国日本では、いつ何時襲われても不思議ではありません。


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その時になって、こんなつもりではなかったと悔やんでも間に合いません。
全ての結果は自己責任。行政に責任をなすりつけても、何の解決策にもなりません。
事前に「安全」が確認できれば、「不安」が取り除け「安心」の心持で生活できます。

2023年11月10日金曜日

木材の弾力性を活用する高度な耐震構法

日本の伝統的な木造軸組みは、木材のめり込みを活かした独特の仕口や接手の形式を持っています。

この構法により、地震時に軸組はしなやかに変形し、また長期振動にも追随できます。


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2023_11_10-2この接合部は架構全体の安全性を左右する大切な要素です。
近年の軸組は加工に手間の掛る仕口を用いず、簡易な接合方法が採用されています。
プレカットによる短ホゾ形式で柱や梁を接合し、ボルトと板金物で補強する工法です。
このような形式は変形性能とエネルギー吸収を期待できず、地震時の変形による抜け出しが懸念されます。
実際、熊本地震での家の倒壊は仕口の抜け出しが原因とする事例が多数ありました。


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必要以上に金物を用いれば、接合部の回転変形を強く拘束してしまい、大きな地震を受けた時には木材を破壊する懸念があります。

2023年11月1日水曜日

家の特性、他の商品との違いは何か?

食品・衣服・家電・自動車・等々、生活必需品のほとんどは工場で加工された流通品です。それらを求める特性や必要性は誰でも一緒ですので、均一化できます。

が、家に求められる特性はどうでしょうか?家は自然の猛威(暑さ、寒さ等)から身を守ることが前提ですが、同時に多様な特性があります。
そこで家と他の商品の違いは何かを検証します。


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➀、求める人の所有する土地に影響され、その上に存在する一品生産品である。
➁、他人の目にさらされ、目立つもの(住む人のレベルを示唆する)。
➂、現場生産品で手作り度が高く、つくる人(設計施工者)次第で品質が大きくばらつく。
④、現物は存在せず、期待・信用の約束から始まる。
⑤、価格が高く、決定的な価値基準が存在しない。
⑥、家族全員が使う。
⑦、24時間、通年使用する耐久品(資産)である。
⑧、人の健康と生命、財産を守る構造物である。
⑨、生産過程でお客様が直接係わり納期が長い。
⑩、環境・周囲との調和が求められる。
他にも多様なニーズや特性があると思いますが、それらにお応えするのが、私たちの家づくりです。


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2023年10月20日金曜日

木の特性を活かし、丈夫で長持ち、資産価値の高い家

いくら気に入って永く住みたくなる家でも、途中で息絶えたのでは元も子もありません。長年の間には、地震や台風に遭遇することも覚悟しなければなりません。

その試練に耐える丈夫さが必要です。
家は生きものなので、初期の頃は丈夫でも年月を経ることによって、劣化や損傷で一気に寿命の縮むことがあります。


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家の丈夫さの元は骨組みです。
太い骨は細い骨より丈夫であるのは当然です。
が、骨組みの方法が理に叶っていなければ、見かけだけで長続きはしません。
丈夫さ強さを金具や合板に頼る現代風の組み方は、当初は良いのですが数十年先を考えると疑問です。
健康体で生まれた家であっても、途中で思わぬ病気に掛かることがあります。
木の家の健康を害する大敵は湿気です。
木は植物ですから湿気があれば腐るので、密閉状態の環境は禁物です。
特に土台部分の湿気対策が重要です。


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高断熱や高気密も結構ですが、余程の注意をしないと本末転倒になりかねません。
更に湿気とも関連しますが、シロアリ等の虫害も危険です。
これはガン細胞に取り付かれたようなもので、早期発見が必要です。

2023年10月10日火曜日

大工の手刻みによる高度な耐震性能の家

大方の人は木造の家は誰がつくっても一緒だと思っているのではないでしょうか。

確かに工場で生産するプレカット方式なら一緒です。
ですが建築用材としての木材は大量生産方式には無理があります。
木は自然の中に育つ植物であり生き物です。
当然のごとく1本たりとも同じものはありません。
同じ樹種であっても育つ場所によって、強度もクセも違います。
その選別は今のところ機械では出来ません。
大工職人の長年の経験と眼力に頼るしかありません。
更に木組みの構造となると、接合部や組手が複雑であり、ノコギリ・ノミ・カンナを自在に操る技能力が必要です。


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日本の伝統的木構造は世界でも類のない最先端の技法です。
これは科学的実験によりデータも公開され証明されています。
ですが、この技能を身に付けるには最低でも10年の訓練を要します。
その為、今は若い職人が減少しています。
ですが高度な性能・品質の家をつくるための絶対条件です。
この技術を後世に継承するためにも手刻みの家づくりに拘っています。


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