2017年9月20日水曜日

既存ドックシステムとプロ診断士の育成

ドックとは造船所(造船+修理)のことです。人間ドックなど総合精密検査の意味合いでも使われています。

木造建築病理学に基づく改修方法は、すなわち、「調査診断を行った上で改修設計を行う」ということで、この「既存ドック」というネーミングを使っています。

それには、既存住宅の現状を正確に把握し、的確な改修設計を行うことができる有能な設計者の育成が急務です。そのような人材が地域で活躍すれば、歴史ある街並みも、各地に多く存在する空き家や情緒ある古家もむやみに壊されずに済むはずです。

設計者の無知が生む不適切な改修工事で、被害をこうむる住まい手も少なくなるでしょう。すなわち、「治す力」を備えた設計者こそ、今、求められている人材であり地域活性対策となります。

2017年9月10日日曜日

個人の生活の豊かさ実現へ向けて

日本はインフラも整備されており、車や家電品などの耐久消費財も豊富に行き渡っています。社会的には一見豊かに見えますが、個人の豊かさについては欧米と比べると必ずしもそうとは言えない状況にあります。

その最大の理由の一つが、スクラップ&ビルド型社会を長い間続けてきて家に対する支出が経常的に多額になっていたことがあります。

今現在、日本における家の平均寿命は約30年で、一代限りで取り壊されていることになります。これでは生涯を汗水流して働いて、家のために奴隷になったと同然です。

耐用年数を100年に延ばすと家にかけるお金が3分の2に圧縮されるという国の試算もあります。圧縮された3分の1を社会保険あるいは一般消費に回せば、日本人の生活はもっと豊かになります。

2017年9月1日金曜日

性能向上リフォームとしての診断システム

私たち人間と同じように建物も老朽化していきます。かかりつけ医院の受診から、必要に応じて総合病院の精密検査(人間ドック)を受けるように、我が家の健康状態を段階的に調査診断する。

具体的には、「①事前調査」「②詳細調査」「③診断」の段階を経て6つのモノサシで評価します。特に中古住宅の購入時や自宅のリフォーム時は建物状態が気になります。事前にわからなかった劣化や不具合が購入後やリフォーム工事中に発覚し、工事費用その他のトラブルの危険があります。

「既存ドック」システムは、建物の調査診断だけでなく、その後の治療のための情報を提供することも重視しています。但し、非破壊検査のため見えない部分は推測による診断となりますが、その為にも豊富な経験が不可欠となります。