2017年1月19日木曜日

「限界耐力計算解説書」より、現行の耐震診断法との違い

地方公共団体が行う木造住宅の耐震改修助成制度のほとんどは、日本建築防災協会が示す、一般診断法あるいは保有耐力診断法で、改修後に 1.0 以上の評点になる事としている。

評点=保有する耐力 (Pd) /必要な耐力 (Qr)

評点による診断
   Pd / Qr ≧1.5        倒壊しない
           1.5>Pd/Qr ≧1.0    一応倒壊しない
           1.0>Pd/Qr ≧0.7    倒壊する可能性がある
           Pd / Qr <0.7        倒壊する可能性が高い

この診断法では基本的に壁の強度のみを評価しており、軸組の垂れ壁・腰壁がついた場合のフレーム効果しか見込んでいない。従って壁の少ない建物は必然的に保有する耐力が小さくなる。
また必要な耐力は基準の耐力係数として Co=0.2 を与えており、入力レベル及び変形量(被害度)との相関関係が加味されていない。
倒壊するかどうかは、地盤や建物自体の性質によって変わるので、このような強度本意で評点を求める判定方法は、木造住宅の性質に関する理解がなければ危険度の判定結果を生むおそれがある。