日本の伝統的な木造軸組みは、木材のめり込みを活かした独特の仕口(直角方向の接合)や継手(同方向の接合)の形式を持っています。
この構法により、地震時に軸組はしなやかに変形し、また長期振動にも追随できます。この接合部は架構全体の安全性を左右する大切な要素です。
近年の軸組は加工に手間のかかる仕口を用いず、簡易な接合法が採用されています。つまりプレカットによる単ホゾ形式で柱や梁を接合し、ボルトと板金物で補強する工法です。
このような形式は変形能力とエネルギー吸収を期待できず、地震時の変形による抜け出しが懸念されます。実際、熊本地震での家の倒壊は仕口の抜け出しに起因する事例が多数ありました。
必要以上に強固な金物を用いれば、接合部の回転変形を強く拘束してしまい、大きな地震を受けた時には木材を破壊する危険があります。