2017年7月20日木曜日

建設廃棄物の削減と省資源・省エネルギー社会の実現

新築中心のスクラップ&ビルド型社会を続けていれば、建設廃棄物の処分が近い将来に限界に達します。建物を長く使い続けることで、廃棄物の発生量を抑制することができます。

有限の資源を有効に利用して、持続可能な社会を築くためには、一度建てた建物を長く使い続けることが重要な方策の一つです。「長く使う」ということは、同じ世帯が何代にもわたって同じ建物を使うということと、同じ建物を異なる世帯が使い回して使用していくという両方の意味があります。

省資源、省エネルギーは地球温暖化対策としての二酸化炭素排出量の抑制にもなります。このサイクルを回せば、木材資源の永続と森林の適正保全、水資源の確保、土砂崩れ・洪水災害防止、海の幸の確保等、自然環境の適正策となります。

2017年7月10日月曜日

中古木造住宅診断士の役割と責任

以前、「木造住宅病理学」の講習会を紹介しました。それを機に、書棚に並ぶ建築雑誌のどこかに、このテーマに関する論文が載っているのを思い出しました。見つかりましたので、その要点を抜粋します。

平成25年、国交省は「インスペクション・ガイドライン」を発表しました。これは、「調査」「検査」を意味し、「住宅診断士」が、第三者の立場から、住宅の劣化・欠陥の有無・改修すべき個所や費用などのアドバイスを行います。

この指針は、中古木造住宅の評価方法を、築年数を基礎とする方法から、建物自体がもつ品質・性能を評価する方向へ変換していくことを示しています。これらの動きは、わが国の住宅供給構造を新築中心から既存活用へと大きく政策が変わりつつあることを示しています。

言い換えれば、ようやく日本もスクラップ&ビルド型の社会から既存住宅中心のストック活用型社会に移行してきたことを意味しています。

今後ますます日本の社会は高齢化が進みます。多くの場合、高齢者の最大の資産は住宅ですが、ストック活用型社会が実現すれば、中古住宅の価値が現在よりも高く維持されることになり、老後の生活あるいは、医療・介護の資金を調達することが容易になります。

2017年7月1日土曜日

後継者育成と地産地建の家が地域活性の原動力

最近の日本の家づくりは、新工法、新建材による簡略化により、職人の技能を磨くチャンスが失われています。従って、現役の老齢化と共に高度な技術・技能の絶滅が危惧されます。(以前の佐渡のトキと同じ?)いくら便利な機械や道具が出来ても、使いこなす人がいなければ無用の長物です。

一方、建築用材についても同じことが言えます。30年、50年後、補修や一部取り換えをする時に、その材料が無ければ全部入れ替えになってしまいます。輸入品や新製品はその危険性が最も大です。

地域で生産されるモノを使うのが地産地建です。これはその地域の気候風土に合った特産品ですから、将来も途絶える危険性が最も少ないはずです。確かに便利な時代になり、日本のどこからでも一晩で届きます。が、その流通コストは莫大なもので、全ては価格に転嫁されているのが事実です。