2017年7月10日月曜日

中古木造住宅診断士の役割と責任

以前、「木造住宅病理学」の講習会を紹介しました。それを機に、書棚に並ぶ建築雑誌のどこかに、このテーマに関する論文が載っているのを思い出しました。見つかりましたので、その要点を抜粋します。

平成25年、国交省は「インスペクション・ガイドライン」を発表しました。これは、「調査」「検査」を意味し、「住宅診断士」が、第三者の立場から、住宅の劣化・欠陥の有無・改修すべき個所や費用などのアドバイスを行います。

この指針は、中古木造住宅の評価方法を、築年数を基礎とする方法から、建物自体がもつ品質・性能を評価する方向へ変換していくことを示しています。これらの動きは、わが国の住宅供給構造を新築中心から既存活用へと大きく政策が変わりつつあることを示しています。

言い換えれば、ようやく日本もスクラップ&ビルド型の社会から既存住宅中心のストック活用型社会に移行してきたことを意味しています。

今後ますます日本の社会は高齢化が進みます。多くの場合、高齢者の最大の資産は住宅ですが、ストック活用型社会が実現すれば、中古住宅の価値が現在よりも高く維持されることになり、老後の生活あるいは、医療・介護の資金を調達することが容易になります。