2021年7月20日火曜日

地震や強風に負けない構造体をつくる

今現在つくられている木造の家の大多数は、職人の技を必要としません。

工場で加工した木材をボルトやプレートを使って組み立てます。


建築用材としての木材は、鉄やコンクリートとは根底から性質が違います。

その特性も知らず「軽いから簡単だ」程度で建てているのが現状です。

これでは木でつくる意味がありません。


日本の伝統である木造建築は、地震や強風に強くて長持ちのする家が最大の特長です。

建物に横の力が加わると傾きます。

この傾きを抑える為には水平力に負けない構造体が必要です。

それを今風の建て方では、合板や筋交いで補っています。

伝統的構造は木材と木材の接合方法によって傾きを抑えます。

これによって、粘り強く復元力の強い構造体となります。


水平力による傾きの数値と建物の高さの比率を層間変形角で表示します。

今風の簡易な工法では1/30に傾くと倒壊します。

が、木組みの構法では1/15まで安全です。

この構造体をつくるには、高度な大工職人の技を必要とします。



2021年7月10日土曜日

レベルの高い木造の家をつくるには、高度な大工職人の技を必要とする

木材をノコギリやノミ・カンナで加工することを「刻み」。

刻むために目印を付けることを「墨付け」と言います。

木材の癖を読みながら、構造上の位置に見合った材料を選び加工することは、大工職人の最も重要な仕事です。


日本の木造建築の接合方法の多様さは、長年培ってきた大工の工夫により生み出されてきました。


ところが近年は、施工期間が非常に短く、技術者も少なくなってきたことから、接合部を機械で加工して、現場では組み立てるだけの工法が主流となっています。

これを「プレカット」と言います。

加工機化はCAD(キャド)と連動しており、主要な加工形状には対応できるが、特殊な形状には手刻みで補うしかありません。


また、部材の外形を均一にするため、よく乾燥する必要があります。

機械は便利だが、「木を読む」ことはできません。

その為、材質が均一な集成材を使ってきました。

製材された木材を使う場合は、欠点を目視して選別する必要があります。



2021年7月1日木曜日

地域の資源の有効活用と、職人の技の継承

これからの家づくりは社会環境の変化により様変わりします。
これまで、家に使う木材の60%は外国からの輸入材でした。
ところが、2000年頃から欧米での需要が高まり輸入量は激減。
今現在では3.5倍の高値です。


これまでのシステムが根底から崩れ去りました。
これは一時的なものではなく元に戻る事はないでしょう。
これを機に、50年100年先の将来を見据えて立て直すべきです。


日本の各地には先人たちが長年育んできた様々な建築用材があります。
これはその地の気候風土に適合する貴重な資源です。


尚且つ、その資源を活用したその地方独特の建築様式・技術も継承されています。
今主流の全国一律の家づくりには、進化向上どころか逆行しています。
家の存在性とは何か?
そのために何を、どうすれば良いのか?
2020年に日本の木造建築を担う職人の技が、ユネスコに登録され国際的にその希少性が認められました。
今こそ、先人から受け継いだ貴重な資源と技を活用すべきです。