今現在つくられている木造の家の大多数は、職人の技を必要としません。
工場で加工した木材をボルトやプレートを使って組み立てます。
建築用材としての木材は、鉄やコンクリートとは根底から性質が違います。
その特性も知らず「軽いから簡単だ」程度で建てているのが現状です。
これでは木でつくる意味がありません。
日本の伝統である木造建築は、地震や強風に強くて長持ちのする家が最大の特長です。
建物に横の力が加わると傾きます。
この傾きを抑える為には水平力に負けない構造体が必要です。
それを今風の建て方では、合板や筋交いで補っています。
伝統的構造は木材と木材の接合方法によって傾きを抑えます。
これによって、粘り強く復元力の強い構造体となります。
水平力による傾きの数値と建物の高さの比率を層間変形角で表示します。
今風の簡易な工法では1/30に傾くと倒壊します。
が、木組みの構法では1/15まで安全です。
この構造体をつくるには、高度な大工職人の技を必要とします。